李惠さまの作画現場へお邪魔しましたin御宿 野乃熊本
先日8/20にプレオープンした、天然温泉 肥後の湯 御宿 野乃熊本。
その約1か月前…
私『かあちゃんいんこ』は、絶賛工事中の野乃熊本に向かっていました。
今年OPENしたドーミーイン敦賀やドーミーインEXPRESS出雲の国 雲南をはじめ、これまで当社ホテルの各所に素敵な絵画で協力してくださっている絵師の李惠(りけい)※さまの制作ナマ現場に立ち会える!と聞きつけ、大工さんチームからのお誘いに「ぜひぜひ!」と2つ返事でお邪魔したのです。
※絵師の李惠さま:詳しくは前回インタビュー記事をご参照ください(画像をクリック!)

今回手掛けられるのは、当社ホテルでは初!の、本格的な “日本画 ” です。
大工さんチームがプロデュースする最上階大浴場フロアの「お休み処」の入り口に、
熊本城の初代城主、加藤清正の伝説の虎退治シーンを李惠さまがオリジナルで描く!
ということで、ワクワクがとまりません♪
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お邪魔したのは、7/23(制作3日目)の午後。
野乃熊本の11階でEVを降りると…絶賛作画中の李惠さまが、ニッコリ笑顔でこちらを…💛
わぁ!虎!迫力‼大きい~‼ あっ李惠さん!お久しぶりです~っっ
うるさい取材班(←1人です・笑)到着…突然カメラ向けてすみません~ 以下、親愛の気持ちを込めて「李惠さん」と呼ばせていただきます!
この日は、背景となる松と虎を大方描き終え、
ちょうど「天然温泉 肥後の湯」の看板が取り付けられたところでした。
右の柱に貼られているミニ画は、李惠さん自身が描いた、いわば「下絵」。これを原寸大に引き伸ばして!?描いていくのですね~。
めちゃハードな制作の隙間で、インタビュー開始。
— いつも念入りな下調べの上で作画されている、と前回伺いましたが、今回はどの辺を…?
李惠さん(以下「李」):今回「お休み処」のテーマが熊本城『昭君之間(しょうくんのま)』。お題でいただいた「加藤清正の虎退治」のお話は有名ですが、絵にする上で加藤清正はどんな顔?どんな甲冑を身に着けていた?など、イメージを創り上げるまで苦労しました。
熊本城には行った事があったので、5月の現調に同行させていただき、あらためてお城の下の「加藤清正像」をじっくり観察したり、お城の横の博物館にも行きました。
— たしかに、400年前のお話(伝説!?)ですもんね…
李:博物館には加藤清正が実際に使っていた甲冑と槍の展示があり、「片槍」を使っていたことがわかったので、作品にも反映できました。また福岡市博物館では、同じ「加藤清正の虎退治」テーマの作品展示があったので参考にさせてもらったり…!
などと話ししているとーーー
「うん、雰囲気でてきたねえ~!」
「おっ。虎、完成?」
工事関係メンバーが、通るたびに声をかけていきます。
李惠さんも、都度ニコニコ返答。(李惠さん…お仕事進まないんじゃ?笑)
みなさん仲が良いなぁ~という大前提もありながら…もう一つ!みんながつい声をかけてしまう理由がありました。この場所、EVホールなのです!!

ふと上を見上げると…しっかりとした木枠の格子に、角は美しいカーブ…なんと廊下の天井部分までが熊本城『昭君之間』を再現した特別デザイン(「折上げ格天井」という神社仏閣などで使われる格式高いもの)なんですって。こんな、こだわり演出満載のEVホールってあります!?
みなさま、ホテルに訪れたら、必ず上を見上げて「天井」までチェックしてくださいね~!
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李惠さんインタビューに戻りましょう~
— 今回、当社ホテルでは初の「日本画」を描いて下さってる、ということですが…画材はどんなものなのでしょうか?
李:当初は熊本城『昭君之間』のように、金箔キラキラのクロスの上に描いてほしい、というリクエストだったのですが、金箔クロスにどうしても絵具が乗らず…私から「絹地のふすま紙」を提案させてもらいました。日本画の画材としても本格的なものですね。
李:顔料も日本画用のものを、専用の糊料で溶いて使っていますので、乾けば耐久性は抜群。100年位は持つと言われています。
— 100年!?日本画すご…(建物が先に痛んじゃう!?)
李:こんな感じの「粉」を1つ1つ溶いて色をつくるところからスタートするので、じつは時間も手間も結構かかります。
— 水彩や油絵の具では、あまり見かけない色合いかも?
李:そうですね、この独特の色味が持ち味です。この粉タイプの顔料は、同じ色でも粒子の大きさによって光の反射の仕方が変わり、明度やきらめき、質感が変わるのも面白いところなんですよ。
— ふ、深い…!
(調べてみると…なるほど、粒子が荒いものはザラメのような輝きの深い色、細かいものは白っぽくなめらかな印象。日本画、興味出てきちゃいました…!)
— ヘンな質問で恐縮ですが…お風呂絵と日本画、難しいのはどっちですか!?
李:「細かい表現」が難しいのは、塗装壁に油性ペンキで描くお風呂絵ですね。一方、日本画は繊細な表現は得意ですが、さっきお話した色づくりの手間に加え、画材の性質上、下書きを間違えても跡が残ってしまうため、かなり神経を使います。慎重に、何色も色を重ねていく…ということで、とっても時間がかかります。
— その手間と時間がかかる日本画を、このBIGサイズで…えっと完成目標は…?
↑取材2日目。急ピッチで進める李惠さん…!
李:このサイズだと2週間ほしいところですが…今回、工事スケジュールの都合もあり、1週間の工期でがんばっています!がんばりまーす(笑)
— !!!(まさしく、ど真ん中の取材でしたもんね~かたじけない!)
↑帰京後に李惠さんインスタで確認した完成報告の瞬間!本当~におつかれさまでしたっっ
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そして…こちらが完成品。あらためてどうぞ!
鎧や着物の柄、草花の一本一本まで緻密に描き込まれ、金色の雲で華やかに彩られた作品は、上下からの絶妙なライトアップで輝き、荘厳な雰囲気に…!
李:今回は現場を訪れる皆さんが、描いているところを見た瞬間「加藤清正でしょ!」と言ってくださるのを聞いて、誰にでも分かっていただける加藤清正が描けたかな?とホッとしました。(後日追い取材にて)
これまで「日本画」というものにさほど関心がなかった私ですが、李惠さんの手から生み出される美しい作品を見ているうちに興味と妄想がムクムクと…。(古来日本で描かれた日本画も、こんな鮮やかな色で描かれたんだろうか…?とか、当時の熊本城『昭君之間』も見てみたかったなあ…とか、後にこの画が世界的に有名になっちゃったりしたら「それ!わたし目の前で描くとこ見てました‼」って自慢しちゃおう…とか笑)
皆さま、野乃熊本に泊まったら、ぜひココじっくり鑑賞してくださいね!(そして、必ず「天井」も見上げてみて!)
ちなみに、取材させていただいた7月末は、まだまだもろもろ工事中。
「お休み処」では、なにやら不思議な物体が…
「これ、今から吊るすので、大浴場へどうぞ!」と(株)綜合デザインの福田さん。
「う~ん、もうちょっと上かな?」
「入口から見てパッとわかるようにしたいね…角度、調整できる?」
↑大工さんチーム御用達の工務店さんによる特注品!
なるほど!加藤清正の「兜」をモチーフにした照明カバーを取り付ける瞬間だったのでした!
大浴場の照明は、近年のドーミーインの「ご当地」感を盛り上げる大切な要素の1つ。新棟オープンやリニューアルをする度に、「今度はどんなデザインかな?」と楽しみにしているファンも多いので、貴重な瞬間に立ち会えてなんだか感動…
せっかくの機会なので、設計・デザイン担当の福田さんにも、お話を伺いました。
— 野乃熊本の大浴場のデザインポイントを教えてください!
福田さん(以下「福」):内湯奥の壁は熊本城の石垣をデザインモチーフにしています。上に行くほど急角度になる扇状の武者返しも再現。柱などの黒いタイルや格子障子で、熊本城の特徴である下見板を表現しています。
— この細かいタイルも、すっごく可愛いですね~
福:ですよね!最近売り出されたばかりの新作タイルなんですよ。肥後手毬風のデザインで、野乃熊本のイメージにぴったりだと思って♪この他、ブラケットカバーや障子なども、肥後手毬、肥後六花、からし蓮根や西瓜など、熊本をイメージできる柄を選んでいます。

— とっても素敵!可愛い!(家にも欲しい~)この辺りのデザインも、ホテルごとのご当地感を考慮して選んで下さってるんですね~✨

福:もう、それがこの仕事の醍醐味と言っても過言ではないです(笑)
— ところで、さっきからめちゃめちゃ現場作業されていますが…(福田さん、設計担当なのでは!?)
福:はい、松鵜棟梁にお声かけていただいてから、ここ数年は現場にも出入りして何でもお手伝いさせてもらってます。施工して初めて『ここは調整が必要』等、わかる事も多いですし…毎回勉強です。
なにより皆さまと一緒に創り上げていくのが、本当に楽しいですね!
↑限られたスペースにこそ旅情を感じる細やかな演出を…
作業を進める大工さん達と福田さん、そして松鵜棟梁たちのやりとりを見ていると、細かいところまで手を抜かないプロ意識、「もっと良くできる!」と協力して作業を進めていくチーム力が半端ない…!
↑「ヒミツの小窓」の隙間をぴっちりふさぐ松鵜棟梁
⇩ココです。

↑絶妙な眺望を確保した外気浴の小窓
それでいて、笑顔が絶えない、和やかな空気が現場に流れているのは…
「きっと福田さんの存在も大きいんでしょうね!」
と李惠さん。(はい!激しく同意~)
「どこに泊まっても安心」でありながら、その土地ならではの「ご当地感」「統一感の中の個性」を大切にしている、私たちのホテル。
野乃熊本 大浴場フロアも、李惠さん、そして松鵜棟梁 率いる(通称)大工さんチームの皆さまの仕事愛とこだわりにより、素敵な癒し空間が出来上がりました! 今回も感謝‼
*おまけ①
「ドーミーインさんのお仕事を通して、全国の色んな場所の特徴や歴史を知り、形にできること。そしてそれを私の知らない多くの宿泊客の皆様に見ていただけることを、とても光栄に感じています」と言ってくださる李惠さん。
実は、前期リニューアルオープン棟にも李惠さん作の作品が多数。李惠さんご自身のインスタ等でも、とても素敵にご紹介いただいているので一部をご紹介♪
★ドーミーインPREMIUM札幌
★ドーミーインPREMIUM下関
★ドーミーイン甲府
*おまけ⓶
野乃熊本の「床の間」の図案は、実はもう一案、こちらもあったと李惠さんに見せていただきました。これから退治する虎を加藤清正が見ている…というイメージでしょうか。「でも満場一致で、加藤清正入りの図に決まっちゃいました笑」と李惠さん。え~っ こちらも素敵ですけど~‼
そしてもうひとつ、(李惠さんいわく)練習で描かれた「ほぼ原寸大」の虎も…

うっわ、めちゃくちゃかっこいい~素敵~‼ え、これ練習!?
そしてなんと「良かったら…」と、この2点をお土産にいただいちゃいまして!(実は…「こ、こんな立派なものいただけませんっ」と一度辞退したくせに、ひと晩悩んで「あのぅ~やっぱり欲しいです…」と翌日おねだりするという…うへへへ~家宝にします♪)
当社ホテルのコンセプトを理解し、いつも期待を超える作品を提供してくださる素敵な絵師、李惠さんの個人的なファンとしても、ますます応援していきたい気持ちが強まった、野乃熊本OPEN直前旅でした!
「李惠」さん、そして「大工さんチーム」のことをもっと知りたい!と思った方、ぜひ前回インタビュー記事も再読してくださいね!(自分で読み返して、あらためてフムフムしちゃいました!)
お風呂を彩る“職業絵師” 李惠さまの世界 【前編】(2024.2.29)
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投稿を表示この前、見に行きました(笑)
その後、これを見ました。
ほとんど、見た所でよかったです(笑)
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投稿を表示狩野派っぽい虎さんがまた迫力あって見事ですね。
お風呂に飾られる蛇の目の兜もとても格好良いです。
近々熊本に行く予定ですので、日程があえば是非泊まりたいなぁ。
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投稿を表示ぇ━(*´・д・)━!!!
手描きだったんですか!
もっとマジマジと見るべきだった😅
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投稿を表示加藤清正公の絵を公式様YouTubeチャンネルで拝見して感動しておりましたら、こちらでもしっかりご紹介頂き嬉しいです。
加藤清正公は熊本市民から「せいしょこさん」と呼び親しまれているのですよ!
来週の藤崎八旛宮大祭も加藤清正公の活躍をお祝いしたお祭りです。
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投稿を表示お風呂の洗い場にある絵ですよね!
札幌と甲府は見たような?下関に行くので、要チェックですね!
熊本は来月に見に行きます!(^人^)